あの暑い 夏の記憶


8月11日、月曜日。

予定通り、葵ねぇは昼前に退院し、耕にぃと一緒に帰って来た。


出迎えはもちろん、耕にぃママ。

「…まだ顔色が悪いわ。さぁ、さっ、入って横になって。もうあーちゃんの部屋用意してあるの」

と、葵ねぇを家の中に招き入れる。


「…あー、母さん。とりあえずさ、一つずつ片付くまで…あの家で生活したいって。届けもまだ出してないし。急にバタバタしたもんだからさ…」

耕にぃは額をかきながら、言いにくそうにしている。


「えぇ!?だって…。そんなんだったら、心音ちゃんのことだって。…困るでしょ?…もしかして!?この間のこと…」


「…いえ、そうじゃなくて…。この前のことは大丈夫です。気にしてませんから。ただ…気持ちの整理とか…。妊娠は…前からわかってて…。…中絶しようと考えてました。心音のこともあるし…」


「なっ…。何を…。中絶って…」


「…ごめんなさい!…勝手ではありますが…。本当にごめんなさい」

葵ねぇが頭を下げている。