「モーリングって言って、これにロープをかけると牛は逆らうことが出来ないんだよ。病気の時に便利なんだ。普段は首にロープかけんだけどね」
「えー…痛そうだね」
「…ここが牛床。牛たちはここで寝るんだよ」
1頭ずつの仕切りがあって、何もいなくてガランとしていた。
「こっちは餌場」
水を飲んだり、エサを食べたりしている牛がいる。
餌は1日2回。牧草やとうきびとか穀物。乳酸発酵したビール粕も餌に加えたりする。
生乳を出すためにたくさんの水を飲むんだ、って。
牛が舌を付けると自動で水が出て来た。
「わー…すごーいっ」
こんなにたくさん牛がいても、搾乳できる牛は40頭くらいで。後は産前休暇牛、育成牛、子牛なんだって。
牛の乳搾りは朝6時と夕方5時の2回。ミルキングパーラーってところに牛を追いやって搾乳するんだよ。
「…あっちがミルキングパーラーだよ」
と、準くんは大きな機械音が聞こえてくる小屋の方を見た。