あの暑い 夏の記憶


「…食べた物、…全部吐いちゃうの?」


「みんなそうなんだよ?酷い人はずっと入院だし。ない人もいるんだって!そんな顔しない!大丈夫だって。ほら…これが赤ちゃん」

小さな写真を見せてくれた。


白黒の写真の真ん中に小さな丸いものが見えた。


「…これ?」


「そ!超音波で撮ってくれたやつ。これがお腹の中で大きくなるの」



わたしは写真をじっと眺める。

葵ねぇと耕にぃの赤ちゃん。



わたしが知ってる葵ねぇが、どこか遠くに行っちゃうみたいで、わたしは顔を上げられなかった。



「…みんなは?」


「…うん。…日夏は葵ねぇに早く唐揚げ作れって。旭は早く帰って来てって…」


「アッハハ。んじゃー早く帰らなきゃ!」

前の方からそんな葵ねぇの笑い声が聞こえる。


「…うん、みんな待ってるよ」


「そっか!…心音は?」



「……」


わたしはどうしても答えることができなくて。




長い沈黙が続いた。