あの暑い 夏の記憶


「母さ~ん!夏休みどっか行こ~ぜ~」

今度は、夏休みの話で騒ぎ立てる。


「そんな暇ないの!」


「一度くらい札幌連れてってくれよ~」


「ダーメ!忙しいのに何言ってんの」


この時期になると、毎年一段と騒がしくなる日夏は学校で、『今年こそ札幌進出だ!』と、わけのわからないことを言っていた。


「札幌に住んでた葵ねぇにマジ頼み込んで…」


「日夏…葵ねぇも連れてってくれないって!日頃の行い悪いもん!」

嫌味たっぷり微笑んであげた。


「…だぁ~!!」

その辺をうろうろと落ちつきない動きを見せ始めた。


「うるさいよ!そんなことしてもダメ!!」


日夏は…一日何回『うるさい!』って言われてんだろ…?