あの暑い 夏の記憶


その時、わたしの腕からフラッと、葵ねぇの手が離れた。



そして…。



わたしの頭に手を置いて。

「心音?泣くな」

優しい顔をした耕にぃがいた。


「…ック。…だって、…ヒック耕にぃック…。怖いック…」

片方の手で葵ねぇの腕を掴んでいた耕にぃが、フワッと葵ねぇを自分の胸元に抱き寄せた。



「…ん。ごめんな?」

と、葵ねぇの頭を撫で優しく囁いた。



「心音も、ごめんな?だから泣くなよ…」



どうなっているのか、…ちっともわからなかった。



ただ、そこには…。



いつもの優しい顔。




「ったくよー。この状況、…どうしてくれんだよ?」

と、耕にぃの低い声がぶつけられた相手は。



「い、いやっ!!…何が!?」


それは直さんだった。