あの暑い 夏の記憶


「…大変なんだね。何も知らなかった…」

シュンとしていたわたしたちに。


「うん。今日はもう暑いから放牧はしてないけど、朝ならやってるからまた見においで」

そうおじさんは笑ってくれた。



帰る頃には、丸い目がかわいい。なんて感情はどこかに消えていた。


すっかり肩を落としているわたしたちに、見兼ねた準くんは優しく言う。

「馬も牛も畑も漁も大変だよ。何が1番とかないよ。みんな大変。
旭ちゃんもみんな同じだよ。旭ちゃんとこの牧草ロールは、冬の間の重要な家畜のエサになるけど。その牧草造りも大変だろ?」


「うん…。トンボで何回も乾かすよ。広い牧草地何回も行ったり来たりする」


「うん。大変だろ?」

優しく響く準くんの声に旭は頷く。


「そうだ…、もうすぐ牧草の刈り取りだねー?」


「心音が、んなこと言うから思いだしちゃったぜ~。…きついんだよな~…」

わたしの言葉に嫌そうな顔をした日夏は、深くため息をついた。