あの暑い 夏の記憶


暴風林が並ぶ道路をかっ飛ばす1台の軽トラ…。

授業が終わると、帰りは葵ねぇが迎えに来る。


「だぁ~痛てぇ!」

旭を降ろした後、荷台で暴れる日夏をバックミラーで見ながら葵ねぇは、わざとスピードをあげている。


「お…オレが悪かったです、葵さま~!!」


わたしと葵ねぇは顔を見合わせて大爆笑した。

「まだまだ!まだゆるい!」


「ヒィ~…!」


旭が降りた後は、いつも助手席にわたしが乗り込むんだ!

んで、旭の告げ口によって…日夏はかっ飛ばしの刑に合う。


それでも懲りないのがヤツだ。

「葵ねぇの鬼~っ!やっぱし耕にぃにはもったいねぇ~!!」

車の中にまで聞こえるくらいの大きな声で、葵ねぇの悪口を並べ立てている。



そのまま日夏とわたしの家を通り過ぎ、耕にぃんちに到着した2号。


荷台の日夏は仰向けになってぐったりとしていた。


「ふふんっ!参ったか!」

大人げない葵ねぇは仁王立ちで日夏を見下ろし。


「ま…参りました…」

荷台でぐったりした日夏は片手を上げようやく降参した。