あの暑い 夏の記憶


「ここに牛舎がいいかなー?ビニールハウスはここにする!」


「こっちは鳥小屋がいいかもなー。羊は羊毛かー?すごいなー。こんなにいっぺんにやったら疲れちゃうな」


「アハハ。だってゲームだもん!羊さんは…」

そう言いかけて、前を見上げると。


フラッと体制を崩した葵ねぇは、直さんに支えられた。



「…ほんと休んで下さいよ」


「ん。立ちくらみだから、大丈夫」


「さ、ちょっと横になりましょう」

白い前歯を見せながら、畳の上に葵ねぇを寝かせる。


子供をあやすかのように、直さんは葵ねぇの髪を指に絡める。


「…ただの立ちくらみだから」


「わかりましたって、案外意地っ張りですねー」

と、ニヤッっと白い歯を出した。



こういう時、真っ先に耕にぃがスーパーヒーローみたく駆け付けるのに…。


耕にぃは、DSの画面を凝視して。

聞こえないわけじゃないのに、あの2人を見て見ない振りを決め込んでいるかのようだった。