あの暑い 夏の記憶


「心音、ほら。早く電源入れて」

葵ねぇたちから目が離せないでいると、わたしの手に握り締められたDSを覗き込む。


「うん…」

機動されたDSの画面。


そこに、“牧場物語”と、言うタイトルが浮かび上がる。


主人公が畑作りや牛を育て、農作物やミルクを売りながら酪農を切り開くっていう物語ゲーム。

ちょっとリアルで、自分が本当に農業を経営しているみたいな錯覚。



「…んじゃここに畑耕す!!」


耕にぃは説明書を見ながら。


「案外難しいなー」


「もう明日に変わるよ!早ーいっ…」



「…ちょっと休んだ方がいいですよ。朝から動きっぱなしじゃないですか?葵さんがそこまでやる必要ないですよ…」


「大丈夫」



わたしも耕にぃも、そんなやり取りをゲームの画面を見ながら耳を傾ける。


ちっともゲームには集中できなくて、鼓膜の向こうから聞こえてくる奇妙な言葉たちを気にしていた。