あの暑い 夏の記憶


耕にぃが大学を卒業が決まった冬。

葵ねぇと結婚の約束をしたこと。


「…何でしなかったの?」


「んー。葵が実家に連れ戻されちゃったんだ。お父さんが病気になって。泣く泣く一人で帰って来た」


「…じゃあ何で今は結婚しないの!?お互い、…好きなのにっ!!わたし知ってるよ!葵ねぇも耕にぃのこと好きなこと!」


「微妙なタイミングがズレると…、何も上手く行かないもんなんだ。機械の歯車が噛み合わないと動かないだろ?あれと同じ」

わたしの肩を抱き寄せ、落ち着かせた。


「後は前話した通りだよ。葵がこの町に来て…」


苦労したこと。


1年が経った頃、ようやくみんなが葵ねぇを認めたこと。



「だから、がんばってるよ。いつも、いつも」


「うん!!いつも朝早く起きてるもん。トラクター乗ったりしてる!出荷にも行くもん。何でも知ってたよ!お料理も美味しい!それからー、ほんとは優しいもーん」


わたしが自慢げに話すと、耕にぃは。知ってると優しく微笑んでくれた。