あの暑い 夏の記憶


毎朝、6時になると。

眩しい朝の光に包まれながら、遠くから葵ねぇの鼻歌と一緒にジュージューッっていう音と、香ばしい香りが漂ってくる。


わたしはそれを。

薄目を開け、今日の葵ねぇも調子が良さそー…。

そう思いながらまた眠りに就くんだよね。



「いただきま~す!」


それぞれが持参したお弁当を開ける。



わたしのお弁当の中には。

海苔が巻いてある小さなおにぎりが2つ。

それから、卵焼きに鶏の唐揚げたち。

が、必要以上にたくさん入れられている。



「も~らいっ!」


「またー!わたしのだよ!」


日夏は口を豪快に開け、葵ねぇが作った唐揚げを無邪気な顔をして、口に放り込む。

決まって。


「マジうめえ~っ!」

と、目元を崩し、幸せそうに噛み締める。


毎日、日夏に取られるから必要以上に、わたしのお弁当箱におかずがパンパンに詰められている。



これが、いつものお弁当の時間。