あの暑い 夏の記憶


わたしたちを乗せた車は、見慣れた国道の海沿いに差し掛かる。


遠く海面に浮かぶ、白や赤、青の小さな群れは波に揺られ漂っている。



「…あの中に日夏パパいるかなー?」


「…あぁ!きっとなっ」



たったの2日間なのに。

この町から、とても長い時間いなかったみたいな気分に陥った。


毎日見ている山も畑も、懐かしく感じる。





お母さんとお父さんのこと。

おじいちゃん、おばあちゃんのこと。

葵ねぇのこと。

わたしのこと。


あのおじいちゃん、おばあちゃんの元で、葵ねぇとお母さんはどんな風に育ったのか。

どうやって2人が出会ったのか。

葵ねぇはどうしてわたしを引き取ったのか。

おじいちゃん、おばあちゃんは、わたしが生まれてどう思ったのか。


葵ねぇはどうしておっかない顔をしたのか。



聞きたいことはたくさんあるのに。


口を閉ざした葵ねぇには、結局、何も聞けないまま。



町に着いてしまった。