あの暑い 夏の記憶


『また、絶対来ような!!』


『うん!!雪まつり来よう!!』



半年後に果たされるはずの約束に、期待と夢を乗せた葵ねぇの車は、札幌の街から遠ざかって行く。


後ろのシートに体を預けたわたしと日夏の手元には、日夏のチェックのシャツ。


その中で、わたしからでも、日夏からでもなく。気がついたら手を取り合っていて。

バックミラー越しに、好きな音楽をかけ鼻歌混じりの陽気な葵ねぇに見つけられることなく握り合う。



国語の教科書に並んだ文字よりも、難しいその歌詞に、『嫌でもそのうちわかる』と、言った葵ねぇの言葉の意味が何だかわかった気がした。



わたしがまだ生まれる前から聞いていた曲だ。と、淋しげに話す葵ねぇ。

その歌詞と、その時の葵ねぇの表情を重ね合わせると。


無償に胸が苦しくなった。





あの夏の記憶をキミは

ボクが追いかけなかったら

何をしていたんだろうか


真っ直ぐな道に一人佇むキミを


どうして抱きしめられないんだろうか