あの暑い 夏の記憶


日夏のクレープを狙ってか、たくさんの鳩が集まって来る。


「な、何だよ~っ!そんな目で見んなって」

鳩の集団に弱々しく嘆かける。


「ずごいいっぱいいんねー!鳩の住家なのかなー」


「…そうだねー。すすきのなんてカラスたくさんだよ。中島公園には、鴨だっていたし…」


「へー…。カラスはちょっと怖いねー。中島公園って広いのー?」


「広いよー。スワンボートもあるし、紅葉は綺麗だし。お祭りなんて人がたくさん押し寄せて来るよ」


「…行ってみたいなー」


「また今度ね」


「…な、何とかしてくれよ~っ!」

鳩の丸いかわいい瞳が日夏を離さないでいた。


「アッハハッ。見なきゃいいんだよ」


「んなこと言ったってよ~っ」

怯えた顔で、残されたクレープを一気に平らげ。


「食べたもんねっ!だから見るなっ」

と、一喝した。


それでも、離すことはない丸い目の中に、日夏の困り果てた姿が映し出されているようだった。