あの暑い 夏の記憶


大通公園から、テレビ塔のてっぺんが見えると、わたしも日夏も興奮気味に足早になる。

更に、葵ねぇの落ち着いた足取りを急かした。



テレビ塔の展望台からは札幌の街が360度一面に広がる景色が望めた。


その眺めは、高いビルに阻まれてはいても、どこまでも続く水平線の先まで見渡せた。

途中、日差しと雲が交差して街の中に影が落とされる。



「オレらのいた町は、町を過ぎたら畑か海か牧場しかね~けど…。ここはどこまでも町だ!」


「人も車も…100倍はいるね!」



ふと、頭を傾け。

「葵ねぇ…。また来れっかな?」

そう、葵ねぇに問い掛ける。


「…冬来ればいいじゃん!雪祭りの時にみーんなで!」


「みんな?耕にぃも?」


「そう!みーんな!」


「旭もか!?」


「やったー!」


「冬なら畑仕事もないし、みんなでゆーっくり来れるよ。行けなかったところも行けるよ!」

葵ねぇは、わたしたちの腕をブンブンふりこみたいに振り出した。