あの暑い 夏の記憶


目からこぼれ落ちる涙を拭うことさえしなかった。

そのわたしの手を離した日夏は。


自分の腰に巻いてあった、チェックのシャツをわたしの腰に巻いた。


突然のことにびっくりしたわたしはゆっくり顔を上げてみた。

心配そうな表情の日夏とバッチリ目が合わさる。


「…良かった。病気とかじゃなくて!」


「…」


「…心音が病気とか…。倒れたらどうしようかと思った!良かった…。心音?オレ…、誰にも言わないから!絶対言わないからな!だから…、泣くなよ…」



ずるい…。


また…、そんな真剣な顔して…。


海の時みたいな。



大人の顔して…。




誰かに言い触らされるとか。

からかわれるとか。


『心音が大人~っ?冗談じゃね~よっ!』

バカにされるって…。


…思った。



「…ック。…ごめ、…ック」



困らせてごめんね、…日夏。

泣いたりして。



でも…。



…嬉しかったよ?