あの暑い 夏の記憶


「大丈夫!女の子は誰もが経験するの。病気じゃないから。お祝いしてお赤飯炊いたりするの。もう心音の体は子供を生めるよう準備を始めてるの。大事なことなの。心音?わかる?」

耳から優しく聞こえる言葉に。

わたしは、首を振り続けた。

受け入れることがどうしてもできなかった。


「…大切なことだから。ね?…日夏ちょっと心音見てて!コンビニ行って来るから。動かないでね!」

葵ねぇの声が遠ざかる。



「…み、心音?」

戸惑う様子の日夏に、わたしは顔を上げることはしなかった。



唇をギュッと噛み締め、静かに泣いた。



わたしの手の平を握り締めている、日夏の前で。


いきなり、もう大人なんだよ?と、言われているみたいで。


…子供とか。

…女の人とか。


急に自分の体が不潔になったみたいで。



恥ずかしかった。


消えたくなった。



一番…。

見られたくなかった。