あの暑い 夏の記憶


「他にはないのー?」

ない!!と、言い切ったわたしたちに、葵ねぇは驚いていた。


「どーした?珍しい!」

と、葵ねぇはその場に屈み込み、目線を合わせた。



「…たくさん働いて、稼いで自分で買う!」


「わたしも!たくさん手伝う!!」


優しい表情を浮かべ。

「…それは頼もしい!」

わたしと日夏の肩に手を乗せると、葵ねぇは笑ってくれた。




ホテルをチェックアウトして、葵ねぇの車は昨日来た道を引き返す。



札幌の街並みが見え始めると、また前の日に味わった感情が沸き上がる。



昨日とは別の駐車場に車を進め。


『チュウシャケンヲ オトリ クダサイ…チュウシャケンヲ オトリ…』

女の人とも言える機械音。


葵ねぇが四角い箱から紙を取ると、車を遮るバーが開いた。