あの暑い 夏の記憶


食堂を出たわたしたちの足は、お土産屋さんへと向かう。


「欲しいものあったー?」


「んー。これ!」


「…おつまみ?」


「明日、お誕生会!!みんなお酒飲むもん!」


「なるほどねー…」


わたしは酢ダコと鮭トバの袋を抱えた。


「日夏はー?」


「オレはこれで~、葵ねぇにやられたらやり返す!!」

木刀を握り構えた。


「…好きにしな!」

葵ねぇが、そっぽ向こうとした時。


「冗談じゃんかよ~っ!!葵ねぇ!千円で買える酒…、ないか?」


「…ん?お金なら出すのに?」


「…父さん、…来れないから。仕事手伝った時のバイト代…。父さんも8月誕生日だしな!」

手の中に千円札を握り締める。

あの時のバイト代だ。



「…わかった!日夏のお父さんは日本酒が好きだからねー。これがいいよ?」

一瞬表情が曇った葵ねぇは瓶を掴み、札幌の地酒。と、ニカッと笑う。


日夏はワクワクしながら、大きく頭をコクンって動かした。