葵ねぇの携帯電話が、朝6時きっかりに鳴り響く。


何事だ!!と、飛び起きた日夏は次の瞬間、またフカフカの布団に体を預ける。


「ごめん、ごめん!目覚ましだよ」

焦りながら携帯を弄る。


「…だ~っ!さては…、葵ねぇ…、天然かっ!?」


「ふふっ…。日夏知らなかったのー」

わたしは布団の間から顔を覗かせる。


「…耕にぃから電話とかさ~。…メールとかなかったわけ?」


「…!」

顔を曇らせる葵ねぇは、一瞬しまった…。と、いうような表情をした。


それを見逃さなかった日夏は、葵ねぇに詰め寄る。

「その顔は…っ!何だって?耕にぃ何だって!?」


「何でもない!…何、心音まで!?」

明らかに動揺している葵ねぇの顔がおかしかった。


「ヘヘッ…。だってー」



観念して口を開く。

「…気をつけて帰って来い」


「は!?」


「え!?…それだけー?」


「それだけです!」

そう突っぱねて言い切られたわたしたちは、また枕に頭を置いた。