あの暑い 夏の記憶


「…日夏ママ。すごいっ!ほんとーに…!日夏パパが大好きなんだね!」

わたしは嬉しそうに葵ねぇに聞いた。


でも…、葵ねぇは笑ってはくれなかった。

「そうだねー。大好きじゃなかったら、できないことだね」


「…そうだったんだ…。葵ねぇ…。それって、…大変なことなんだよな?」

日夏は、下を俯いたまま、散らばった花火の棒切れを踵でもてあそぶ。


葵ねぇはコクリと頷き。

「…すごーく…、大変だよ。日夏が思っている以上に大変なことだよ。だけど、…日夏ママとパパの大好きって気持ちの方が。強かったんだよ?」

そう話す葵ねぇは、どこか遠い目をして、一点を見ている。



「…そっか。オレ、…何も知らなかった…」

日夏の横顔は、泣きそうな顔で瞳の中を潤ませる。

いつもの大袈裟な演技とか、そんなんじゃなかった。



「…でも。幸せならいいんだ。大変だろうが何でいいんだよ、日夏?大変の度合いなんてどうでもいいんだ。幸せなんだから」

耕にぃは腕を伸ばし、日夏の背中を包み込んだ。