「お供します」
と、それだけ言って、花火に光を点してくれた。
葵ねぇは線香花火の小さく散らばる火の粉を、ジーッと見つめ、話し出した。
「日夏ママは○○って、んー。札幌よりずっと北の地方出身なんだって。
日夏ママんとこは他に子供がいなくて、日夏ママがご実家の農家を継ぐはずだったって。
学生の頃に、他の土地の農業を学ぶ為にうちに訪れて来たらしいよ。
旭ママと同じ年だし、気が合ったんだと。
旭ママに紹介されて、一目惚れしたんだって。
もう駆け落ち状態で逃げるように家を出てきたんだけど。
日夏パパんちは町で漁業してたんだけど、漁業を知らない日夏ママに押し付けられないって。
ここに越してきたんだってさー。
だから、日夏パパ。時化以外、あんましこっちに帰って来ないでしょ?
ちょっと町まで離れてるし、忙しいと帰って来れないもんね?
私が知ってるのはそれだけ!」
「へ~…。始めて聞いた…。母さん、…ここの産まれじゃなかったんだ…」



