薄暗い空間に映(は)える純白の白衣に、寄越される凍りつくような深い蒼。足を組み直し垂れがちな瞳を細めクスリと笑うさまは、同じ性を持つ俺ですら生唾を飲み込んでしまうほどの優艶さを漂わせる。
彼の腕に付けられている黄金色のブレスレットがシャランと鳴った。
「呼べませんよ。アナタ何歳で俺を産んだことにするつもりですか?」
正論を述べる俺に対し、ソファーの腕かけに肘を預け頬杖をつく棗さんはやれやれといった感じに溜め息をはいた。
「細ぇやつ。肩が凝る」
「造ったのは棗さんです」
はいはい、と俺の意見を軽くあしらった棗さんは、ディスクに向き直りパソコンをいじり出した。パソコンの明かりで青白く浮かび上がる棗さんの横顔を見つめながら、首元のネクタイを緩める。
「ご飯食べました?」
「あー…、今日一食も食ってねえ」
「死にますよ」
「構わねぇよ、別に」
カタカタ、とキーボードが叩かれる音が響く。制服の第二ボタンまで外した俺は、鞄をテーブルの僅かな隙間に置き、壁に張り付くように存在する小さな冷蔵庫に向かった。



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