「薺!」
「ハァッ…ぁ…ッ…」
自分の足を地に引き摺り無理矢理ブランコを止める。ぐしゃり、と崩れ落ちた薺を何とか抱き留めて、支えながらしゃがませた。
「ハッ…ハアッ…」
薺は胸を両手で押さえつけ、荒い呼吸を繰り返す。顔はみるみるうちに真っ青になり、手足が痙攣しだした。
―――俺が走らせたからだ。
一気に頭が真っ白になる。俺の中にある数えきれない程の知識なんて、何にも役に立たなくて。身体が震え、薺を抱くので精一杯な自分が腹立たしいのに、何をしたらいいのか全くわからない。
「は、ぁ…す、い…」
「ッ…ごめ、今救急車呼ぶから!」
そう言って携帯を取り出した震える手を、薺の手が強く掴んだ。
「ッく…す、り…」
苦しそうに頭を左右に振り、薺は掠れた声で「薬」と呟いた。
「っ待ってろ、すぐやるから!」
以前薺が鞄をぶちまけた際に見掛けた小瓶を思い出し、自転車に乗る鞄を手を伸ばし取ると、その中から白い錠剤の入った小瓶を取り出した。



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