あの時の俺の行動が、何を表していたかなんてはっきりと分かっていた。

 それでもお互いに何も言わないのは、逃げているからなんかじゃない。

 言葉として空気に洩らした刹那から、それが何の意味も持たなくなることをお互いに分かっているからだ。

 自分の存在がどういうものなのか、重々理解しているから――…。















   Chapter.02

  言葉なんて所詮
戯言のようなものだった