「これ。」 と手渡されたのは… 「借りてた赤いハンカチ。ありがと。」 あたしはハッとする。 涼の右手を見直すと、やっぱりV型の傷がある。 じゃあ、このハンカチは……。 「ちゃんと、返したから。 俺に出来るコトは、もうこれくらいだからさ。」 そう笑うと、「圭人も頑張れよ」と帰って行った。 「…………」 「…………」 暫し、沈黙が続いた。