小学生だった俺は抱き締めることも、上手く慰めることも出来なかった。 『…圭人……』 そうやって、圭人の名前を呼んで泣いている明日香。 ―…悔しかった。 ―……情けなかった。 ―……何も、出来なかった。 可愛い誕生日ケーキの上に立てられた10本のローソク。 ゆらゆら揺れて、早く消されたいと明日香を見つめる。 だけど、そんな願いは虚しく……。