もう一回、っと思ったときに視界に黒い影が見えたことに気付き、その影に目を移した。 「ミャー……」 それは、黒猫だった。 「やだ、黒猫。」 黒猫と言えば、昔から黒猫を見ると悪いことが起きると言われていて、 その頃の私も、その言い伝えを信じていた。 「ミャー……ミャー」 しかし、その黒猫はうずくまったまま動こうとはしなかった。