サァっと吹く風は、決して何時もの強く冷たい風なんかじゃなかった。 温かくて、優しい風だった。 「…なんか、不思議だな。」 名簿に涼の名前が無かった。 その時点で、涼はこの町にまた引っ越してきたわけでは無かったこと。 今思えば、涼の兄弟にも、両親にも会ったことが無かった。 家に上がることも……。 何一つ気付きもしず、こうやって居なくなるまで側で見守ってくれた。 あたし達は、目を瞑り今までを振り返っていた……。