……ジャリジャリ 石を踏み締める音が辺りに広がる。 いつもの林道を通って赤い鳥居を潜り抜け、そして、見慣れた社を見上げた。 あたしは社の一つの柱に、赤いハンカチを結んだ。 圭人は何も言わなかったけど、あたしが戻ると優しく笑ってくれた。 「…ねぇ、あたしと圭人が見ていた涼は、幻なんかじゃないよね?」 「……うん。いつも俺らの側に居たよ。」 「…ちゃんと、あたし達が見ていた涼は現実に居たんだよね。」 だから、忘れちゃいけない。 涼の、何もかもを……。