俺は目を逸らし、肩を締め付けてくる痛みに顔をしかめた。
すると、葉山の顔が耳元に近づいてきて、
「それからだよ。終わらない初恋が始まったのは」
と。廃虚を吹き抜ける風のように、虚しい声が耳の奥に届いた。
7歳から始まった初恋だとして、葉山が蕾を思っているのは約9年。
長い長い初恋だ。
「葉山…」
「好きなんだよ…」
「うん、分かったって」
葉山の肩に軽く手を置きながら言った。
「好きならちゃんと本人に話さないと。 手伝ってやるから明日からがんばろうぜ。なっ」
刹那、葉山の瞳に涙がぶわっと滲んだ。
「う、う…んっ こんなことしてごめん…っ なんか、ずっと誰にも言えなくて…っ」
ずるずるとへたり込みそうになる葉山を支えながら、
「便所に座り込むなっ きたねー」
とふざけたように言って俺は軽く笑った。
「うん…っ 悪い…っ」
葉山は片手で顔を覆って嗚咽を漏らし始めた。
俺より身長あってデカいくせによく泣く野郎だなと思いつつ。
なんだか幼く見える葉山の背中をさすってなだめた。
