いまいち戸惑いを感じられない、そんな俺の顔にイラッとしたのか。
肩をつかむハヤマの手に力が入った。
すると、その手が震えているのが伝わってくる。
両肩で絶えず小刻みに動くそれを一瞥し、またハヤマの顔を見ると。
ハヤマはうつ向いていた。
そして静かに言う。
「…昔蕾ちゃんがさあ、火傷してうちの病院に来たときに言ったんだよ」
…病院?
もしかして俺と蕾が生まれた"葉山総合病院"のことか…?
そういえば、蕾はやかんのお湯をかぶって火傷したことがあった。
けっけう薄くなってきたものの、まだ少し二の腕に跡が残っている。
「病院って…葉山総合病院?」
葉山の様子をうかがいつつ、ためらいがちに聞いてみる。と、葉山はうつ向いたままコクン頷いた。
「…で、どうしたんだよ」
ぶっきらぼうな聞き方しか出来ない自分に、"もっと優しく聞けよっ"と自らツッコミを入れる。
幸い、葉山はその言い方を気に止めなかったようで。
あまり間を置かずに続けた。
