「橋本くーん 何やってんのー? 俺も混ぜてー」
ドアを俺にぶつけていることにまだ気づいていないのか、呑気にそんなことを言っている。
涙が滲んで熱くなった目で睨み上げると。
そこには…
「…ハヤマ」
「昼休みぶりー」
カーディガンから指先だけを出して、ドアの隙間から手をふってくるハヤマ。
その動作に合わせて無垢な笑顔まで浮かべている。
蘇る昼休みの悪夢…
思い出した瞬間、鼻の痛みなんか吹っ飛び、転がりそうになりながら逃げ出した。
「あ、待ってっ」
つっかえになっていた俺がいなくなるとドアはすんなり開いて。
ハヤマが便所から飛び出して追っかけてきた。
足の速さなら負けないだろうと高をくくっていたら。
腰ではいていてずり気味だったズボンの裾を踏んずけた。
"自滅"
頭に浮かぶ二つの文字。
刹那、俺は派手に転倒。
すぐに大勢を立て直して片膝立ちになったが、走り出すのが一瞬遅くて背後から伸びてきた長い腕に巻き付かれるように捕らえられた。
