大人になれないファーストラバー




あ、またやっちまった。
眉間にシワを寄せるクセ。

と思いつつ、急に力を抜くとなんだか情けない気がしてそのままの顔でいることにする。





ふと。
蕾の目尻にまつ毛が付いているのが目に入った。


A型としてはほっとけなくて、「ごめん。もうしない」と言う蕾の二度目の謝罪(さっきより感情のこもりがない。)を受け流しながら指を伸ばした。





「お前、」





声変わりがわりと遅くて、最近やっと声が安定してきた。
でも時々コントロールがきかなくて、低すぎる音が出てしまう。




そんな俺の声にビビったのか、蕾はいきなり目を瞑った。



なんだか傷つくわ、その反応…。





「おい」




もう一度、今度はちょうどいい感じの音程で、『ちょっと触るぞ』という意味で言った。




「お前、まつ毛ついてんぞ」




するとようやく目を開いた蕾。



なんだか微かにほっとしているように見えるその顔を、軽く屈んで覗き込む。
やらかい目尻の皮膚を強く擦りすぎないように気をつけながら、指先でまつ毛を取りにかかった。






「…まぎらわしい」


と、ボソッと聞こえた呟きに、


「は?」

とケンカ腰で聞き返す。




ほんと。なんでこんなののそばに16年もいるんだろうな。