大人になれないファーストラバー



そして放課後。

掃除をして、ホームルームも終わると途端に教室は静かになる。



佐伯は帰り際まで視線を送ってきていたけど、取りあえず背中を向けて目を合わせないようにして乗り切った。






オレンジ色と茶色に染まる教室。

誰もいなくなったその中で、『昼休み助けてやったやんか』とかなんとか言う理由で、タケちゃんに無理矢理押し付けられた仕事のことで教卓上の名簿を見ていた。




席の順に名前と顔写真が貼られているペラペラした紙でまずは下調べ。





タケちゃんの頼み事の内容は。
5月までは普通に学校に通っていたのに、いきなり不登校になった男子生徒を連れてきて欲しいという用件だった。





『先生が家訪ねて連れて来るほうが早くない?』と聞くと、『そいつ徘徊しちょるけん、どこいるんか分からん』ってさらっと言われた。






『徘徊しちょるけんて、もうそれは警察沙汰な気がするんだけど…』とは言わず(なにしろ恩人だから)、しばしば引き受けることにした。