大人になれないファーストラバー


目が合ってたのはほんの一瞬のことだったのに、数分は見つめ合ってた気がする。



今さら気がついていないふり無理があると思ったが。
ここで目を逸らしたまま立ち往生じゃ、気まずすぎる。


取りあえず何食わぬ顔で再び階段を上がり始めることにした。






なんだか分からないが、今日は変な人間に遭遇することが多い。



入学してけっこうな月日が過ぎたと言うのに、まだこれだけ知らないやつがいたとは。
内心自分の無関心さに感服していた。





手に汗をかいて指先が冷えてきた。
女子の視線を痛いほど感じながら階段を一歩一歩踏みしめる。



ほぼ半分くらいのところまで登ると、何かが足元に落ちてきた。




それは、コケた拍子に脱げたんじゃなくて。意図的に脱いだと言うような一足の上履きだった。


拾ってと言わんばかりにすてんすてんと転がってきて。俺の足にぶつかって勢いを失うと動かなくなった。



もう一度階段上を見ると、女子が哀れそうに上履きを見つめていた。





ここは拾うしかなさそうなので。
仕方なく、リボンやらハートやら自分の名前(もしくは友達の名前)の落書きがされた派手なそれを指先に引っかけて拾い上げた。