シミュレーションで107回目の釜の餌食になった頃には、闇がすっぽりと街を包んだ。




まるであたしを怖がらせるために点灯するかのように、蛍光灯が取り付けられた街灯が白くぼーっとした明かりを落としていた。





ついに口裂け女出没の条件が揃ってしまった。




咲之助が前に教えてくれた近道にそれたから、人気がなくてますます怖い。






こんな時、携帯とやらを持っていたらどんなに便利だったかと思う。

今どき持ってないなんて、女子高生の風上にも置けないやつだ。





咲之助が持ってれば平気ー、なんて言ってた自分を今さらながら呪った。


どれだけ咲之助を頼っていたのかが目に見えるようだ。







情けない自分にまたしても絶望しつつ、塀にもたれかかりながら重い体を引きずってようやく街灯の下までたどり着いた。





背中を丸めて膝に手をついて一休み。






「―…さ」





ふと、何か聞こえた気がして、額の汗(冷や汗)を拭い顔を上げた。