あたしは、観月のその瞳に捕らわれてしまったように目をそらすことができず。
言葉に詰まって「むう…」と短く唸った。
そうだ。シンデレラ作戦なんかを咲之助に仕掛けてきたあの女のことを話そう。
そもそもの発端は全部あのことからだ。
「…悪い女のことを、サクに教えたほうがいいのかなって」
「考えてたの?」
「うん。あたしただの幼なじみだから。」
「ただの幼なじみだから何?」
高くもなく低くもなく、考える余裕をくれるいつもの落ち着いた声に戻った観月。
あたしは内心ほっと胸をなで下ろした。
あのままだったら、逃げ出してたかも分からない。
「サクとその女のこと引き裂く権利、あたしにはない。」
「え、咲之助くんは完全にその子のことが好きなの?」
「うん。そうみたい。」
「でも悪い女なんでしょ?」
「うん」
「咲之助くんのこと大切でしょ?」
「………まあまあ」
「ふ」っとなぜか観月は鼻で笑った。
「素直じゃないなー」って、あたしを横目で見ながらさらに言う。
