「なになに? 嬉しい知らせって」
どれぐらい眠っていたのか、そんな声で目が覚めた。
図書室に来てしばらく呆けていたらゆるゆるとした眠気に襲われて、瞼を自分の意思で閉じたのは覚えている。
「焦らさないで早く教えてよー」
きゃあきゃあと騒がしい声は、いくつか聞こえてきた。
あまり好ましくない類いの女子であることはこの高い声から察することが出来る。
観月が入院してから、こういう女子たちに「観月くん何があったの?」と同じ質問を何回もされた。
げんなりしながらそれらの会話を何気なく聞いていると。
「実はねえ」
と。あたしのなかで元凶の象徴としてインプットされた女子の声が鼓膜を震わせた。
どきん。
心臓が一度大きく跳ねると、それをきっかけに今は曖昧になっている"怖い思い出"が意思に関係なくじわじわとよみがえって来ようとする。
頭を振ってそれをなんとか食い止める。
「咲之助ね、あたしのために今日学校やめたんだよ」
それを聞いた途端、頭のなかが電光石火が走ったように一瞬真っ白になって。
そしてすぐにまた熱を帯びていった。
