そして昼休み。
あれから、咲之助が校門を出て行くまで見送って、完全に姿が見えなくなってからようやく体を起こしたのだった。
制服についた砂やらを払って、擦れた膝の様子を確かめる。
めくれた皮が中途半端にまだくっついていて、血が滲んでいた。
傷を見るのが苦手な人が見たら、目にしただけで悲鳴を上げそうだ。
痛々しい傷を庇いながら足を引きずって廊下を進んだ。
そろそろ生徒がいっせいに登校して来る時間だ。
込み合う前にどこかの教室に落ち着きたかった。
階段を上がらないといけない教室には行かずに、普段あまり鍵の開いない図書室のドアをダメ元で引いてみた。
すると、運のいいことに、引き戸はすんなりと開いてくれた。
冷たい空気に図書室特有のつんとした匂いが混じってる。
そんな空気を裂くように歩いて図書室内の隅まで行き、ふいに誰かが入ってきても見つからないよう、本棚を盾にしてその場に腰を下ろした。
貸出し禁止の本が並ぶこのあたりの棚は、人が立ち寄らないようで少し埃っぽい。
いつもならこんなところに長居は無用だけれど、今はなんだか少々体に悪そうな空気でも吸っていたい気分だった。
