大人になれないファーストラバー



「じゃあな」



床にうつ伏せに転んだままのあたしにそう言って、咲之助は玄関の外へ出て行った。




待って。
まだ聞きたいことがあるのに。


なんで学校をやめなくちゃいけないの?

なんで、なんで、なんで…





自転車の後ろから見てた頃よりも少しだけ広くなった背中。
広くなった分だけ背負うものが増えたように見える。





生まれた時からずっと一緒だった。
そんな咲之助がたった今別の道を歩き出した。





離れてく学ランの後ろ姿。
その隣に自分がいないことがすごく悲しくて。
冷たい風に晒されて荒れ始めていた唇を強く咬みしめた。