「観月、あのさ、」
理由を話そうとするあたしの声なんか無視して、観月はズンズンこちらに歩いて来る。
「あの、あたし観月とは…」
いつの間にか長く伸びた前髪に隠れて、観月の目は見えない。
「観月、ごめん、観月のこと大事だからこれ以上そばにいれない」
表情は見えないけれど、きっと傷ついた顔をしているのだろう。
それを思うと目の奥が熱く、喉に何か詰まったみたいに苦しかった。
「ごめ…っ 観月っ だから近づいてこないで…っ」
息をするのもやっとで、うまく言葉をつむげない。
観月から目を逸らし、どうしようもなく痛む胸に手を当てて服をぎゅっと握りしめた。
