「何?」
そう聞き返そうとすると。
「ごめ…、俺、弱くて、ごめん…」
そう言った観月の声は震えていた。
語尾のほうは泣いているんじゃないかってほど弱々しかった。
「…観月?」
観月らしくない弱気な態度に、涙目なのも忘れて振り返った。
「どうしたの…」
それきり何も言わなくなった観月。ただ事ではない気がして、その顔を猫背気味の肩越しに覗き込んだ。
「…俺じゃ…守れな、かった…」
横を向いて寝ている観月の目から何かが流れて鼻筋に塞き止められた。
もし観月が起きているなら、こんな簡単にあたしに泣き顔を見せたりしないだろう。
きっと夢のなかであたしが何かしでかしたんだ。
観月を傷つけるような何かを。
「…ごめん…」
謝る観月。
それは悲しい未来を垣間見ているかのようで、観月から離れようとする気持ちがいっそう強くなった。
