大人になれないファーストラバー



気がつくと、なんと夜明けだった。


薄明るい光が窓から差し込んでいる。
昨夜、全部開け放たれていた窓は閉められていたが、暖房器具も何もない教室はやはり寒い。



教室中を見渡すと、みんな思い思いの場所ですやすやと眠りこけていた。




いったいいつ眠ってしまったのか。
一晩中体育座りのままの大勢でいたから、首がはって痛かった。




この光景を見れば昨日も徹夜したことは間違いなさそうだが。
知らないうちに寝てしまっていた自分がなぜ起こされなかったのか少し不思議に思えた。






ふと、隣から聞こえる規則正しい微かな呼吸に気づく。



痛む首をトントン叩きながらそちらを向くと、長身を折ってこじんまりと寝ている背中があった。



学ランはあたしが奪ってしまったから、その背中は薄着のまま眠っている。





「観月…あ、違った、"フミ"。」





未だに慣れないその名前。
やっと"アヤ"と呼べるようになった矢先に"アヤじゃない"なんて言われて。
正直、まだ少し困惑している。