補習開始まであと15分。
仕方なく観月の後について水道に向かった。




鏡が設置されてる流しの前に立たされ、観月は水で濡らした手でまた寝癖直しを始めた。



没頭してる観月は真剣で、話しかけるタイミングが分からない。
一応直してもらってる側だから、あんまりデカイこと言えないし。



けど、もうあたしのためと言うよりは、"あたしが気になる"と言う理由で動いてるわけで。

感謝すべきなのかそうでないのか、分かりかねる…。





…そう言えば。
咲之助は今日は補習には来ないのだろうか。
数学以外は出来ないはずだから来るのだと思うけど。


それにしても、なんで数学の補習に出ていたのか。
問題集だってすぐに終わっちゃうみたいだし、出来ない人に対する嫌がらせか?





「蕾ーっ 直んないーっ」





観月がうめき声をあげたので、はたと鏡を見ると、まだまだ生き生きとしている寝癖が目に入った。





「あー、サクも苦労してたよ。」





と言うと、観月の片眉がピクッと上がった。