「ごめん。ただのヤキモチだから」
「え、え、何?」
「なんでもなーいよー」
あからさまなからかうような口調にちょっとむっとする。
「なんなのっ」
観月のコロコロ変わる態度が分からなさすぎて、ついにダムが崩壊。
勢いに任せていろいろ言い放った。
「なんなのっ 笑ったり不機嫌だったり悲しそうだったりっ アヤ分かんないっ」
観月に迫って行って、いつもの平坦なしゃべり方ではなく怒ってるのがはっきり分かるようにズカズカ話した。
「蕾、落ち着いて」
両の手のひらをこちらにむけて、「どうどう」と言いながらあたしを宥めようとする観月。
「サクもアヤも全然分かんないっ」
言って、また一歩観月に迫ると。
カクンとバランスを崩したかと思えば、観月は視界からいきなりいなくなった。
刹那、激しい水しぶきが立ち上る。
「アヤっ」
観月はプールに落ちたんだと分かって、すぐに地面にへばりつくようにしゃがんで水面を覗き込んだ。
水面の揺れが収まってくると、ザパンッと観月が顔を出した。
