大人になれないファーストラバー



「はいっ おれいらないからあげるっ」




あたしは取りあえず手を出してみる。



手のひらに落とされたのは、半分が透明でもう半分が黄色のカプセルのような球体。



中に何かが入ってるようで、開けてみようと両手で持った。


爪の色が白くなるぐらい指に力を入れて引っ張ってみるものの。
球体はびくともせず、まったく開く気配がない。




そんなあたしの様子にもどかしくなったのか、男の子が、


「ちょっとかしてっ」


と、あたしの手からそれを奪うようにして取った。




男の子はあたしよりも小さい手で懸命に球体を握る。

力みすぎて男の子の手が微かに震えていて、それを見つめていると。


次の瞬間には球体が"パカッ"と言う音をあげた。




男の子は真っ二つになって開いたそれから中身を取り出して、今度はそれをあたしに手渡した。




「…指輪」



手のひらの上で輝くそれを指でつまんでみる。




「そっ 違うのが欲しかったのにそんなのが出ちゃって、いらないからあげる」



男の子は空になった球体を、近くにあったゴミ箱に投げ入れながらそう言った。