見た目より全然いい人だった同じ歳くらいの女子高生たちになんとなく感動して、あったかい気持ちになりながらトイレを後にした。




待っているはずの観月を探そうと、背の高い金髪を目印に辺りを見回す。




すると、ちょっと離れたところにケータイを耳に当てて何やら電話中のその後ろ姿を発見した。




「アヤっ」



そう呼んで駆けよってみると。

なんと振り返ったのはまったく知らない女の人。




「え、何?」と、片眉あげて不機嫌そうな顔でそう言われ、思わず逃げ出した。



まさかの人違いにどう対応したらいいのか分からず、頭のなかは真っ白だった。

謝りもせず、いきなり逃げて。これじゃイタズラだと思われても仕方ない。





それにしても、観月によく似た後ろ姿だった。
化粧はちょっと濃かったけど。




向かいから歩いてくる人は走っているあたしを避けて歩いている。

完全に気が動転していたから、避けてくれて正解だ。たぶん、避けてくれなかったら体当たりしてしまって悲惨なことになるだろうから。