観月は「手汚れてないから」とかで、トイレの出入口付近で待っていると言っていた。
あんまりきれいじゃないトイレも、やっぱり込み合ってて。
なかなか長い列が出来ていた。
観月から離れるのは不安ではあったものの。
「あたしはここで待ってるから」と言った時の観月の雰囲気はいつもと違い、なんだか「ついてきて」とは言えなかった。
こう言う時には便利な小さい体をフル活用して人の間をすり抜ける。
途中おばちゃんに押し潰されそうになりながら、女子高生が占領している水道へとたどり着いた。
水道の前にある鏡を見つめながら、化粧を直す3人の女子高生。
あたしなんかよりスカートが短くて、髪の毛の色も派手で。
そんな人たちの前に出て行くのはなんだか怖かった。
水道を使いたいけどそんなこんなで近寄れず、おどおどしていたら。
「あ、すいません」
て、女子高生のなかの1人があたしの存在に気付いて、すぐにどいてくれた。
「…ごめんなさい」
こんな時なんて謝ったらいいのか分からない。
あたしって世間知らずだなって思った。
