プリクラなんて、始めてだ。

駅近くのお店に行くのも、中学1年の時以来な気がするし。




近頃の夏休みと来たら、自分んちでゴロゴロしてるか咲之助んちでゴロゴロしてるかのどっちかだった。






「…うわ、人いっぱい。」



駅まで歩いて来て、お店に入ろうとしたところで一瞬ひるんだ。




なんせ小さい町だから、プリクラ機が入ってるお店なんて3店舗くらいしかない。

その貴重な3店舗の中でも、新機種導入なんて言う看板が立つのは駅前の一店舗だけ。


だから、どうしても駅前には人が集まるのだ。





「大丈夫、あたしがいるじゃん」




人混みを目の当たりにして後ずさるあたしに観月は言った。




ここに来るまでになんとか食べ終わったアイスのゴミを、お店の自動ドアの横のゴミ箱に捨てて。


ベタベタする手を洗いにまずはトイレに向かった。